第11章 そうだ、野菜を贈ろう!
「おぉ?ここら辺じゃ珍しいね。」
「陶器、だな。ガラスが並ぶ中では目を引くな。」
なんと、お面を売っておりますの。
それも、おたふくとかありきたりじゃなくて、小洒落た感じのデザインなの。
それに付けるストラップの品も多数ある。
うわはは〜い!
目移りするぅ♪
「あ!イタチ、あれとって。」
「…これか?」
「そうそう!」
一際目を引いたのが、猫のお面。
黒地に白色で目の縁取りや三角耳を描いる。
描かれてるのはクロアゲハかな。紫や桃色、青がすごく綺麗。
半面って言うの?鼻から上しかないタイプ。
欲しい!!
これぞ一目惚れ!!
「でもな…。」
こんだけ質にもデザインにも凝ってる物って大抵お高いんだよね。
案の定。裏面見て、げって思わず顔を顰めてしまった。
二千両って…。
完全に予算オーバーじゃん。
ちくしょう…。
「やっぱいいや。戻してくれる?」
イタチに渡すと、何でか戻さず持ったまま。
ついでに紺色の房飾りを一つ。
「…え。」
で、そのままお会計…。
「ほら。」
「あ、ありがと…。」
手渡されたお面をまじまじと見る。
ピアスみたいにして耳部分に飾られた房飾りを思わず撫でた。
イタチが買ってくれた物…。
思ったより何倍も嬉しい…。
「…はっ!いやいやいや、こんなお高い物!」
「いいじゃないか、偶には。」
「いや、だって、そういう訳には…。」
だって…だって…。
別に近しい間柄でもないのに…。
「大事にしてくれたら…それでいい。」
あ…
そこまで言われると…。
もとよりめっちゃ大事にするけれども。
「うん…。」
私が返事をすると、優しく微笑んだイタチは私の頭をぽんぽんと撫でる。
嬉しそう…。
それなら…。
「うん、宝物にする。」
「大袈裟だな。」
「そんな事ないよ。すっごく大事にする。」
へへっ。
大切なものがまた増えた!