第11章 そうだ、野菜を贈ろう!
「イタチは何か思いつく?」
「贈り物って言われてもな…。あぁ、お守りなんてどうだ?」
「お守りかぁ。お守りね…。」
お守りって言ってもこの世界じゃ多種多様だ。
神社仏閣ってものがあまりないから、お守りを買うって風習がそもそもないし。
だから、手作りのミサンガだったりペンダントだったりキーホルダーっぽいのだったり。
…私、そういうアクセサリー系の工作って得意じゃないんだよね。自分用だったらいいんだけど、人に送るとなるとなぁ。
しかも相手はサスケ。半端なもんは捨てられる可能性すらある。
「街にでも繰り出してきたら如何です?あなたはあれこれ悩むより見て選んだ方がいいんじゃないですか?」
鬼鮫さんから言われて、「一理あるかも」と納得する。
「んじゃ、見てこようかな。イタチも一緒に行かない?」
そして、是非とも選んでほしい。
「いや、俺は…」
「息抜きも大事ですよ。」
イタチの言葉に被せる様に言った鬼鮫さん。
その様子にイタチは鬼鮫さんに一度怪訝な目を向けるも、すぐ逸らしてすっと立ち上がった。
「行くぞ。」
「あ、うん。んじゃ、鬼鮫さん、行ってきます。」
声をかけると、彼は本から目を離さぬまま片手でふりふりと返事を返した。
「じゃ、行こっか。」
こうして私達は街を散策する事になった。
宿から出て見上げると、よく晴れた青空が広がっていた。
「段々とあったかい日が増えてきたね。」
「そうだな。」
イタチは眩しそうに片手で庇を作り、空を見上げる。
春ってぽかぽかで気持ちいいよね。
「何処から回る?」
「何処でも構わない。」
「んじゃ、ちょっと混んでるけど大通りから行こう。」
大通りだったら主力品を多数取り扱ってるだろうし。
「分かった。」
イタチの返事に笑顔で返すと、私達は歩き出した。