第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「誰なんだ…?」
ぶつぶつと呟きながら手前の箱を開けると、中にはどっさりと旬野菜が詰め込まれていた。
益々訳がわからず、二箱目を開けると同時にぱっと視界が切り替わった。
「先生に贈り物で〜す。」
―…幻術…。
さんさんと日差しが降り注ぐ海面の上にいる様な景色。そこに本物の様なエニシが満面の笑みで両手を振っている。
こんな幻術の使い方をするのは世界広しと言えとエニシだけだろう。
カカシは面食らいながらも術を解かないままでいた。
「あと、サスケとナルトの分もあるから是非届けてね〜。残りの一箱は綱手様とシズネさんとサクラちゃんの分のお土産だから渡しといてください。」
―…途中で解けば良かった…。
程のいいパシリじゃないか、とイラっとするも、届いてしまった以上は、自分が届けるしかない。
「あ、紫の印が付いてるのがナルトの分なんで、開けないで届けてくださいね〜♪」
―何か仕掛けたな。
「また会いましょうね、カカシさん!」
―調子いいね、まったく…。
にっと笑うエニシに苦笑が漏れる。
カカシは自分で幻術を解くと、改めて荷物を見る。
確かに一箱だけ紫の印が付いていた。
印というよりこれは…
「術式か。」
ナルトの立場を考えると、このまま渡すのは極めて危険ではある。
が、他ならぬエニシの事だ。
ナルトの害にはならないだろう。
「ま、見張ってれば大丈夫でしょう。」
カカシは早速、其々に荷物を届けに行った。