第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「えっと〜…?」
「私はあなたに留守番を言い渡して出てきたんです。覚えがないとは言わせませんよ?」
「ゔ…。はい、確かに…。」
「では何故ここにいるのでしょうねぇ。」
「それは、その〜…。散歩…?」
「散歩、ねぇ?」
ぐぐぐっと険しくなった目に、エニシはたじろぎながらしどろもどろに言葉を紡ぐ。
「その…散歩の延長、と言いますか…。でもでもカカシ先生とは偶然会いまして…。それから…」
「そんな事はどうでもよろしい。あなたは私との約束を破ったんですから、当然罰は必要でしょう?…あぁ、白。」
思い出した様に鬼鮫がそちら向くと、白が「はい」と返事を返した。
「仕方がないので、あなたの妖刀は諦めてあげますよ。精々、剣術を磨く事ですね。」
鬼鮫は言い捨てると、イタチの方を向く。
すると、彼は心得たとばかりに立ち上がった。
「え?え?ちょ、ちょっと待ってください。私、カカシ先生から報酬を…」
「散々邪魔してくれたんですから、お返しに邪魔してあげますよ。」
「何ソレ!そんなお返しいらない!」
じたばたと踠くエニシに見かねた様子でイタチが声をかける。
「お前、カカシさんから幾ら貰うつもりなんだ?」
「いや、お金じゃないよ。」
その返答に彼は怪訝な顔をする。
「お手伝いする代わりにカカシ先生の素顔を見せてもらうの。それが報酬。」
にんまりと笑うエニシに、阿呆らしいと言わんばかりな冷めた表情をするイタチ。
「…帰るか。」
「えぇ。」
「え、ちょっ…!ちょっとちょっと!カカシ先生の素顔だよ!?見たくないの!?」
「興味ないな。」
「絶世の美男子だよ!?」
「どうでもいいですね。」
「誰も見たことないんだよ〜!?」
「「くだらない。」」
鬼鮫はエニシを引き摺り、イタチはその隣に並んでスタスタと歩き出す。