第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「ばかばかばか〜!何もこんな事で万華鏡なんて使わなくてもいいじゃん!!」
「そうでもしないと一向に進展しないだろ。」
「自分の健康考え〜や!こんなんドクターストップじゃ〜!」
「大袈裟だな…。」
「大袈裟なもんかっ。イタチが労わんないから私が代わりに労ってるの。脳みそが大袈裟だと思うだけで、体は中断して良かったって思ってるの!」
「やれやれ…。」
―…なんだ、この夫婦喧嘩は。
「はあぁぁぁ〜…世話の焼ける…。」
聞こえた声の方を見ると、鬼鮫が目頭を押さえて項垂れている。
―今日は気が合うね〜。
カカシが心の中で笑っていると、鬼鮫は真っ直ぐにエニシ達の元へと歩いて行く。
そして彼女の首根っこを掴むと、するっとイタチから引き離した。
「こんな所で始めるより、帰ってからやりなさい。その方がイタチさんも落ち着くでしょう?」
「え、あぁ…まぁ?」
エニシの間の抜けた返事を聞くと、鬼鮫はぱっと手を離した。
「あ!そうだ!私、ちょっと報酬貰わなきゃいけないんで先に帰っててくれませんか?ぐえっ。」
今にも駆け出しそうなエニシの首根っこをすかさず引っ掴む鬼鮫。
―早かったな。
彼女の行動を予測していたかの様な動きだった。
「さっきから何するんですか〜!猫の子じゃあるまいし!」
「似た様なものでしょう。」
「ぜんっぜん違いますから。猫の子は忍術なんて使わないでしょ?」
「じゃあ、忍猫だったんですね。」
「違うったら〜!人間ですって!っていうか、離してください!」
「駄目ですよ。あなたには躾が必要なのでねぇ。」
「え゛…?」
ニタリと笑う鬼鮫は不気味そのものだ。
エニシはきゅっと身を縮こまらせる。