第10章 ルーツを探しに出かけましょ
(先生、闇市って知ってました?)
こそこそと内緒話を始めたエニシに合わせて、カカシも声を抑える。
(まぁね…。何度か潜り込んだ事くらいがあるって程度だけど。)
メイの言う通り、ありとあらゆる物が売られる。
骨董品や宝石、動物、植物、人間までも…。
人間が売買される様を見たのは流石に不愉快だった。
(ふ〜ん…んじゃ、妖刀もそこで売られたことなんてあるんですか?)
(幾度かあるらしいな。)
(げ、幾度も…。それって幾ら位の値が付くんですか)
―確か…。
カカシは記憶を探る。
最高額を資料で見た時は呆れたものだ。
(10億、だったかな。)
「はあ!?10億〜!?」
突然の素っ頓狂な大声に、会話が止み、皆の視線が一同に集められた。
「あ、すんません…。」
邪魔をしたと思ったらしいエニシは少し焦った様子で片手で口元を覆う。
「…ま、結局は売買は契約不履行に終わったけどね。」
カカシが補足すると更なる補足が付け足された。
「その落札者が国庫に手をつけたことが判明しましてね。競売がやり直しになったんですよ。」
「…それでも1000万の値は付いたがな。」
鬼鮫とイタチだった。
意外と言えば意外だった。
エニシはどうも彼らに、それなりには大事にされているらしいということが窺える。
「…アホだ。」
「俺も同意見だよ。」
カカシは返す。
「使えもしない、ましてや飾れもしない、ただ箱の中にしまって封印するだけの荷物と変わらないモノを欲しがるだなんて…。」
エニシは心底理解出来ないと頭を抱える。