第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「うーん…。イタチは妖刀がほしいの?」
「…仕事だからだ。欲しいか欲しくないかじゃない。」
「なんだ、良かった。でもさ、使えもしない妖刀なんて何に使うの?」
「…それを言うと思うか?」
「もしかしたら答えてくれるかも?」
呆れ顔のイタチに、にっと笑うエニシ。
普段からめげる事なくこんな風に突っ込んでいっているんだろう。
「てなわけで。白が主になっちゃった以上は諦めて欲しいかなって。」
「やれやれ。奪って封印してしまえばどうということはない、ということを忘れてやいませんか?」
「うーん…。でも奪ったところで使い道ないですよ?」
「売る、という手段があるんですが。」
「いやいやいや。誰が買うんですか、こんなもの。」
傍観していたメイは、最早突っ込むことすら煩わしくなった。
鬼鮫やイタチと繋がりがあるというのも問題だが、それ以上に鬼鮫がまともに会話をしているところを見るのが初めてだったのが衝撃的だった。
「闇市よ。そこでならありとあらゆる物が売られるもの。」
「闇市なんてものあったんですか!?」
「やれやれ…。世間知らずにも程がありますね。」
「健全って言ってくださいーだ。っていうか、闇市なんて何処でやってるんですか?」
「色々なところよ。人目に付かない、且つ交通の便が良い所。主催者によりけり変わるし、ね。」
メイは鋭い視線を鬼鮫に投げると、ニタリと彼は笑みで返した。
「暁が強奪した品が何点か出ているわよね?」
「そうでしたかねぇ…。一々覚えてはいませんが。」
「あなたには良心ってものがないの?」
「良心ねぇ…」
言葉の刃の応酬が始まった時、隣からくいくいっと袖を引っ張られた。