第4章 久方ぶりの里帰り2
「ちょっ…!なんなの!?マジでちょー怖いんだけど!!」
ぴたりと止まったかと思ったら、鬼鮫の方が影分身出して私の方に走って来た。
しかもさ、アニメのまんまのお顔なのよ!
あの顔でニタリと笑われてみてよ!?
ただでさえ怖い顔が更に怖くなるの!!
「むーりー!!」
捕まりたくない!
絶対に捕まりたくない!!
イタチにバレたくないからとか関係なく、無理!!
「ほらほら、逃げてるばかりでいいんですか?防戦一方じゃ勝機はありませんよ?」
いやいやいやいや。
あんた相手に勝機もクソもあるか!
…はっ!
本体が遠ざかってる!?
嘘でしょ〜!?置いてかないでぇ〜!!
元々、一緒にいた訳じゃないけど。
探すの骨が折れるんだってぇ〜!
「くっそぉ〜!」
こうなったら奥の手だ!
まずは写輪眼。
からの…。
「蜃気楼の術!」
これは認識阻害の術だ。
遠くにいるけど、近くにいる様な。すぐそこにいる様に見えて、実はぜんぜん違うところにいる、みたいな。
幻術を応用して、自分の現在地を錯覚させて、微妙に誤魔化す技なのです。
タッチの差だけど、これが意外に引っかかりやすいんだな。
灯台下暗し、って言うでしょ?
意外に手元にあるものって見えにくいみたいなのよ。
幻術が不得手な私が開発した、使える幻術なのです。
そして、もう一つ。
「影分身の術。」
更に写輪眼を万華鏡に変化させて…。
「天乃羽衣!」
対天照用として開発した術なんだけど、天照を無効化するだけじゃなくて、気配も消せる事が分かったの。
その名に相応しく、見た目は紗の様な半透明の膜で、羽衣の様に白く透き通って綺麗だった。
本体の私が天ノ羽衣で覆われちゃえば、残るは影分身の私だけ。
影分身は全速力で走り出し、私はそのまま木陰に蹲って隠れた。
すると、すごい形相の鬼鮫がすぐ横を走り抜けて行く。
当たり前だが、本体の私には全く気づかなかった。
「…こわぁ…。」
いやーあれはホラーだわー…。