第4章 久方ぶりの里帰り2
お互いに見つめ合ったまま、暫くの時が流れた。
一分にも十分にも感じる、長い様な短い様な時間。
緊張で喉がからからになる。
ぎゅっと握りしめた手の平には、汗が滲んでいるのが分かる。
カカシさんの一挙手一投足を見逃すまいと構えていると、
「お前はずるいな。」
と言ってふっと笑った。
「…え?…ずるい?」
わっけわからん。
今のやりとりで、ずるい要素がどこにある?
目をぱちくりしながら本気で首を傾げると、これ見よがしにため息をつかれて、肩を落とされた。
「気づいてないの?お前は昔っから、真剣な頼み事や話をする時に、俺の事”カカシ先生”じゃなく”カカシさん”って呼ぶの。」
んん?
そうだっけ??
けど、そう言われるとそうかもしれない、と思う。
さっきも先生って呼んでなかった気がする。
「俺、結構お前に"カカシさん”って呼ばれるのに弱いのよ。」
「へぇ!初めて知った!」
まじか!これ使えるかも!
「ネタばらししたからには、明日以降は引っかからないからな。」
嬉しそうな顔するな、と先生は私の額を小突いた。
ん?ちょっと待って?
「”明日以降は”…?」
え、それって今日は見逃してくれるって事?
じっと見上げると、カカシさんはにこっと笑う。
「望み通り、見逃してあげるよ。」
その言葉に、嬉しさが込み上げる。
「ただし!これからも復讐しようとか、そういう事考えるんじゃないぞ。」
私はその言葉に、うんうん、と強く頷くと、カカシさんの手を握り締めた。
「ありがとう、カカシさん!この恩は絶対忘れないから!」
満面の笑みで言うと、困った様に笑いながら、空いてる手で頬を掻いた。
「まったく、お前って奴は…。」
そう言うと同時に、後ろの方で大きな爆発音と水飛沫が上がった。
私達は揃って対岸の方へ視線を戻す。