第4章 久方ぶりの里帰り2
本気の目だ。
昨日とは違う、本気で私を捕まえる気だ。
嘘や誤魔化しは効かない。
きっと看破される。
どんなに頭のキレる人なのか、身をもって知ってる。
イタチを治しますって、正直に言う?
けど、それを言ったところで「はい、そうですか」って納得してもらえるの?
…もらえない気がする。
「…なぁ。何で今日、この日に木の葉に帰ってこようと思ったんだ?」
カカシさんからの質問に答えられない。こんなド直球の質問、答えられる筈がない。
私は俯くしかなくて、ぎゅっと唇を噛んだ。
かくなる上は、めちゃくちゃに暴れてでも…
「俺は…、俺は今でも、本気でお前を仲間だと思ってるし、力になりたいと思う。」
「は…?」
本気?
私、里を抜けたんだよ?
ゆるゆると顔を上げると、困った様に笑っているカカシ先生がいた。
でも目は真剣で、真摯に見える。
「…里を抜けたのに?」
「抜けたかったのか?」
間髪入れない質問に、抵抗する様に首を強く振った。
「抜けたかった訳じゃない。居れるもんならここに居たかった。」
記憶を消される前も、記憶を消された後も。
色々思うところはあるけど、里を抜けたいと思った事は一度もなかった。
「記憶が戻った後も、何度か思い出しては落ち込む事だってあった。カカシさんとの思い出だって、イタチとの思い出だって、」
兄ちゃんとの思い出だって…。
「いっぱい、いっぱい大切だった。」
「なら、何で…」
「でも言えない。ここに来たのもただの里帰りじゃないけど、理由は言えない。」
綱手様とシズネさん以外には。
それだって、まともな判断力してたら、二人にも未だに言ってなかったかもしれない。