第4章 久方ぶりの里帰り2
仲間の気配や匂い、音を頼りに、街を抜け、雑木林を駆ける。
木から木へと素早く走っていると、覚えのある匂いが微かに鼻を掠める。
―この匂いは…。
その方向を目で追うと、前方斜め左側の木陰の中に、昨日再会したばかりの姿を捉えた。
川の向こう岸を伺う様にして息を顰めている。
―あいつは…。
カカシは影分身を一体出すと、本体はそのまま走り抜けた。
影分身のカカシはそれを見遣ると、気配を顰めて彼女の後ろを取る。
「なーにやってんのよ?」
真後ろから声をかけると、彼女はピシリと身を強ばらせた。
次いで、勢いよく振り向くと驚愕に目を見開いた。
声をかけるまで気配に気づかないなんて、と呆れるやら心配になるやら、カカシの心情は複雑だった。
だが、簡単には心の内を悟らせるつもりはない。
彼女のこの行動は不審を煽るもので、到底見過ごせない。
それを裏付けるかの様に、彼女の顔色は青褪めていく。
「なーんでお前はこんな所でコソコソとやってんの?」
浅からぬ仲の、それも嘘が苦手な彼女の、嘘を見破る自信は十二分にある。
どんな些細な事でも見逃すまいと、カカシは感覚を研ぎ澄ます。
「返答によっちゃあ、このまま捕らえさせてもらうよ?エニシ。」