第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「因みに、あなたは黄色と橙色が大多数を占めているわよ。」
「私にも色があるんだ!」
「誰でもあるわよ。」
「お待たせ!あったわよ!」
「俺もあったぞ、写真だ。」
二人戻ってきて、一人の人が写真を出してくれた。
二人で写っているもので、一人はミアさんだと分かる綺麗な人。
もう一人は、それはそれは背の高いガッチリした体格の男の人で…。
「そっくり〜…。」
思わず鬼鮫さんの横に写真を並べてしまった。
お顔がそのまんまなんだもん!
「この人誰っすか!?」
くわっと写真持ってきてくれた人に食い付いた。
「どこに住んでました!?これ何年前の写真ですか!?」
「落ち着きなさい。」
ゴン!
いったあぁぁぁ!!
チョップでこの痛さっ!!!
まったく、という小さな呟きと共に、持っていた写真がするりと取られた。
「ふむ…。まさか本当に自分のルーツが詳らかになるとは思っても見ませんでしたねぇ。」
その言葉に、頭を抱えるのをやめて見上げると、写真を見て穏やかに笑う鬼鮫さんがいた。
良かった…。
来た甲斐があったなぁ。
『知っておくことに意味がある、と俺は思うがな。』
イタチが言っていたことって、もしかしたらこういうことだったのかな。
ルーツを辿ったからといって、もうこの二人に会えるわけではないけど、こういう人だって知れたのは大きな財産になったようにも思う。
「良かったら君が持っているといい。」
写真の持ち主の人が言うと、鬼鮫さんは虚を突かれたように一瞬ぽかんとしたけど、すぐに無表情になって写真を見返した。
「いえ、これはあなたが持っていてください。」
「だが…。」
「より安全な場所に置いておいた方がこの人達の為にはいいでしょう。」
そう言って、すっと写真を机に置くとそのまますたすたと歩き出す。
「お出かけですか?」
私がそっと聞くと、「えぇ」と返事が返ってきた。
「見て回りたいんですが、構いませんよね。」
エルフ達の返事を待たないその言葉に、私達が顔を見合わせると、鬼鮫さんは、ふっと笑ってドアの外へ消えていった。