第10章 ルーツを探しに出かけましょ
ライアさんによると、ここには極稀に迷い込んでくる人がいるんだそう。
霧を抜けて、あの不思議な結界を抜けた先のここまで。
「我らはそれを防ぐために、君たちの時と同じ手法で攻撃をするか、幻で惑わして領域の外まで戻すかの手法を取っている。」
「殆どの場合が、人間は歓待されない。」
ライアさんの周りにいる人達が、代わる代わる丁寧に説明をしてくれている。
「人間は皆が皆、血を好むというわけではないことは分かっている。ただ、そういった者の見分けは難しいんだ。例えば、君。」
指された指先を追って、その場にいた人が一斉に私を見るものだから、思わず私も自分を指差した。
「…私?」
「そう。一見すると君のオーラは概ね綺麗だ。とても善良に見える。しかし、戦闘になるとどうだ?君は敵と定めた者に寛容でいられるか?」
寛容でって…どのくらいなんだろう?
でも、情けは要らないよねってくらいには徹底的に出来るとは思う。
「…少なくても、身の安全を確保するくらいには攻撃するかも…?」
ちょっと控えめに言ってみた。
「そうだろうな。無邪気に見えて残酷である、なんて者はそれこそ何人もいた。」
…あぶねー。
色々ぶっちゃけなくてよかったー…。
鬼鮫さんをちらりと見たら呆れ目を向けられた。
「故に我らは”人間”と一括りにして警戒することが殆どだ。その牙がいつ我々に剥くとも限らない、とな。これが、線引きをする理由だ。」
「なるほどねー…。」
そして、私を例えに出したあたり、鬼鮫さんのオーラとやらはあまりよろしくない、といったところかな。