第10章 ルーツを探しに出かけましょ
………。
っていうか、待って。
どうしてこの人達、人間に後ろ向きなんだろう。
「何で、ちょいちょい人間に否定的なんでしょうか?そこんところの解説をお願いします。」
何をとは言えないんだけど、何となく癪だわ。
「それは、その…。」
ライアさんをはじめ、皆が皆困り顔。
その時、ずっと黙っていた鬼鮫さんがため息と共に口を開く。
「あなたも鈍い人ですねぇ。周りを見れば分かる事でしょうに。ここは血生臭いことからはかけ離れた場所ですよ。平和ボケしてると言ってもいい。そんな人種からすれば我々を毛嫌いするのは当然でしょう?」
鬼鮫さんにしては珍しく卑下するような発言。
らしくないわ。
「全然当然じゃありません。私はうちはですからね。そういう目を向けられてもそういうものかとも思いますけど、鬼鮫さんは違うと思います。半分はエルフの血です。一族なんですから…。」
そう、そこが気に入らない。
なんで鬼鮫さんは人間の括りにして線引きするの?
半分はエルフの血じゃん。
「一族だから受け入れて当たり前ではありませんよ。」
「それは…!そうかもしれませんけど…。」
私もそうだったから、理解できなくはないけど…。
でも、なんか…なんか納得いかない!
悔しい!
言葉にできないもやもやを解消できなくてむかむかさせていると、鬼鮫さんが珍しく困ったように笑う。
「本当に変な人ですよね。私のことなんて気にしなければいいのに。」
その言葉に益々むかむかが溜まっていく。
「言葉に出来なくてすみませんけど、気にしないなんて出来ませんし、納得いきませんし、嫌なものは嫌なんです。端的にいって腹立たしいです。」
…自分で言ってて支離滅裂だと思った。
「悔しいと思うし、鬼鮫さんのご先祖様がいいように思われてないことも悲しいし。…色々もどかしいです!」
食ってかかるように言ったら、何故か鬼鮫さんはくつくつと笑い出した。