第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「それに、貰ったのは私とイタチで、あとの四人は洞窟の存在すら覚えてない状態だったんですよ。それもたった一年の間にですよ?」
「それを聞いたんですか?」
「兄も一緒だったんで聞いてみたら、丸々記憶がないみたいでしたし、他の人もそんな感じでした。」
正確にはアオバさんには直接聞いてないけど、覚えてたらアンコさんかライドウさんが言うだろうし。
けど、そんなこと一言も言ってなかったんだよね。
「イタチさんも一緒だと言いましたよね。聞いてみたんですか?」
「いや、聞いてないですけど…。うーん、私と変わらないんじゃないかな、と。」
イタチは私と同じで鍵を持ってる。
ってことは、私と同じ状態ってことにならない?
そう思って言ったんだけど、鬼鮫さんは何故かニヤリと笑った。
「これでイタチさんがしっかり覚えていたなら、あなたのお馬鹿さんが露呈しますねぇ。」
「うわー、新手の嫌がらせキター…。」
心底楽しそうに言ってるよ、この人。
「ライア。」
「あぁ。」
鬼鮫さんと話してる間にも、ライアさん達が鍵を見ては何か話してるのは聞いてたけど、何かが纏まったっぽい。
「何か分かりました?」
私は鍵を回収して、また服の中に戻す。
「多分としか言えないが…。おそらくは、風のエルフが造った物だろう。」
…エルフ??
エルフって言ったよね、今!
「え!?エルフってあのファンタジーの!?伝説上の種族の!?」
うっそ!マジか!
エルフって実在するのか!
うっひゃひゃ〜!テンションまじ上がる!!
「どのファンタジーかは知らないが伝説上ではないな。我らは人間との接点を持たないだけで、他の種族とはそれなりに交流があるぞ?」
ライアさんがちょっと眉根を寄せてむくれてると、隣にいた女の人が笑う。