第10章 ルーツを探しに出かけましょ
まずは、ライアさんのご自宅にご案内されました。
やっぱりフォルムの可愛い…いや、不思議な…うーん、そんなありきたりな表現じゃ当てはまらないくらい不思議な作りのお家だった。
見た目よりも広い空間になってて、奥はまだまだ続きがあるらしい。
棚らしい棚はその部屋にはなくて、中央に接客用と分かるソファとテーブルが置かれていて、その周りに丸いソファ的なものがぽつぽつ置かれている。
そこには思い思いに人が座り、寛いでいる。
「ライアさんって、実は偉い人なんですね。」
彼は族長なんだそうで。
そんな風には見えない。
「実はって何だよ。実はって。」
ムッとしちゃったから、ふりふりと手を扇ぎながら笑う。
「や〜だ、ちゃめっ気がある人だって意味ですよ〜。気さくっていうか。」
いい意味で圧がないんだよね。
和やかに周りに溶け込んでる感じ。
「君は…随分と言うじゃないか。」
じと目で見られて、てへぺろってしたら隣からげしっと鬼鮫さんに蹴られた。
「え、何で?」
ライアさんから蹴られるならまだしも。
「何となくむかっときたもので。」
一切悪びれることなくしれっと返された。
「ひでーの。」
まぁ、ともかくも。
族長だから、あの紛らわしい鍵を持ってるんだって。
んで、その時に思ったのが私の持ってる鍵型のチャームに似てるなってこと。
綺麗な石造りだとか、本人以外は触れないとか。
私は早速服の中からネックレスを引っ張り出して外し、コトン、とテーブルの上に置いて差し出した。
「これを見て欲しいんですが…。」
さっきのあれが存在するなら、これも何か分かるかなって思ってさ。
「これは…。」
ライアさんをはじめ、そこにいた人が次々と覗き込んでは目を丸くしていた。
んん?なんか思ってたんと違うぞ?
「これを何処で…、……っ!?」
言いつつ持ち上げようとしたライアさんは、溶けるように手をすり抜けて、またテーブルに落ちたチャームに驚きながら私の方を見た。