第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「綺麗ですねぇ。アクアマリンですか?」
「そうだ。」
「持ってみても?」
「構わない。」
わぁ、綺麗〜。
差し出されたそれを受け取った瞬間、パリン!とガラスが割れるような音と共に鍵が粉々に砕け散って砂が風に舞うようにサラサラと消えていく。
「…え?…え!?ちょっ、ちょっと嘘でしょ!?何で!?」
何もしてないのに!!
触っただけだよ!?
絶望的な心境でライアさんを見ると、そんな私を見て彼は吹き出した。
「ふふっ。大丈夫だ、ほら。君が壊したわけじゃない。壊したように見えるだけだ。」
ライアさんがすっと手を翳すと、そこにはまた元の形に戻った鍵が現れた。
…………。
つまり…どういうこと…?
「つまりは、私以外の者はこれには触れられないという魔法がかけられている。君が触れたことで、鍵は一度壊れて元の場所に戻り、私の召喚に応じてまた現れたんだ。」
「…もしかして私、してやられた感じ?」
「そういうことだな。くくっ。」
「めちゃめちゃビビったんですけど!?」
笑ってる場合じゃないからな!?
ライアさんは憤怒の顔の私を見て、どうどうと楽しそうに宥める仕草をする。
「悪かった悪かった。あまりにも素直な反応だったから、ついな。」
「長は客人が来るとよくやるのさ。」
「人を揶揄うのが好きな奴でな。」
そう言いつつも、周りの人も笑ってるよね?
何となく人を揶揄って楽しむところが誰かさんを彷彿させる…。
「何を見てるんです?」
「何となく鬼鮫さんと似てるなぁと。」
「はっ、気のせいでしょう。」
そんな嫌がることないのに。
私は肩をすくめてから、ライアさん達に向き直った。
「揶揄うなんてひとが悪いですよ。」
まったくも〜。
じと目で見上げた私を見たライアさんは困ったように笑う。
「すまんな。だがまあ…改めて、ようこそ我が家へ。」
「はい、お邪魔します!」
くぅ〜楽しみ〜!