第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「…は…ぁぁ……。」
感心していると、隣から気の立ったような空気を感じて見上げると、鬼鮫さんが険しい目で足元見回している。
何だろ?と思って見てみると、何かの術式が大理石のように綺麗に加工された石盤に刻まれていて、その陣の中に私達はすっぽり入っていた。
咄嗟に写輪眼に切り替えるも、異常は見当たらない。
全体を見るように見回したら、後ろにはいつの間にかクリスタルの結晶の様な六角柱の大きな碑石が二つ鎮座していて、その二つを中心にして円陣が描かれている。
「これって…。」
罠ではなさそう。
なさそう、なんだけど…なんか不安だ。
術式イコール罠、みたいな経験則によるものって言ったらいいのかな。
状況的には発動後だけど、これはどう解釈したら良いのやら…。
困りながら鬼鮫さんを見上げると、嫌そうな顔が返ってきた。
「何で私を見るんです?」
「…何となく?」
これって大丈夫だよね?っていう同意が欲しかったんだけど…。
「あなたが何とかしてくださいよ?あなたが好きで首を突っ込んだんでしょう?」
「それは…まあ…。」
確かに言い出したのは私なんだけどさ?
「そんなに心配することでもない。あれは入り口だ。結界、と言えば伝わるか?」
見かねたらしいライアさんが苦笑しながら教えてくれた。
「あぁ…結界ねー…。ってあれが!?」
めっちゃデカい!!
でもまぁ、こんだけ広い土地を隠そうと思ったらこんなどデカい術式になるのも頷ける気もする。
「そして、これが鍵だ。」
そう言って、さっき空中に出した棒状の物を差し出された。
それはそれは精巧な細工の施された、水を連想させる透き通った綺麗な水色の石で出来ている。