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もう一度、を叶えるために。second

第10章 ルーツを探しに出かけましょ





「はいは〜い、軽傷の人こっちですよ〜。」

「中傷の人はここでまっててくださいね〜、優先的に診ますから。」

エニシ達三人は、青い肌に忌避なく混じり、次々に怪我人を分けていく。
その中で、中傷の人だかりにいるエニシだけが治療に当たっていた。
両手を患部に当てては綺麗に治していくのを、次から次へと人を変え、患部を変えて澱みなく行っていく。

「はい、じゃあ軽傷の人お待たせしました〜。」

そう言って、区分けしていたエニシ達も次々と怪我人を治していく。

すると、

「随分と虫がいいな。お前のせいで怪我をしたってのに…!」

中傷者の中に、喰ってかかる者が出てきた。

無理もないと見ていた彼は思う。
今まで負け知らずだったのも、その要因だった。

「まず謝るのが先だろう?それが礼儀ってものだろ。」

その言葉に、数人が立ち上がる。
皆、その表情から憤りが垣間見えた。

その様子を離れていた所から見ていた鬼鮫は小さく鼻で笑い飛ばした。
攻撃を受けたなら反撃するのは当たり前の事。
忍だから、いや、忍でなくともそうだろう、と不快を抱いた。

―さて、どう答えを返すやら。

エニシが自我を抑えて謝罪を返せば、彼等の気は済むのだろう。
だが、思いのままに突っぱねれば、再び場は荒れるかもしれない。
鬼鮫は後者だろうと予測を立て、鮫肌を握る手に力を込めた。

エニシは周りをちらっと見回した後、少し思案する。
そして、喰ってかかった者をもう一度見上げた。

「えーっと、すみません。」

彼女の口から謝罪の言葉が出たことは鬼鮫の予想外だった。
それと同時に落胆の想いが底に沈む。

が、それで終わらなかった。

「申し訳ないですが、怪我をさせたことには謝れないです。」

「は…?」

目の前にいた彼は唖然とエニシを見た。

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