第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「何て言ったんですか?」
「言葉が通じてますか?って。」
「馬鹿すぎて言葉もありませんね。」
「すみませんでしたー。」
ちくしょうが。
鬼鮫さんはやれやれと肩をすくめ、目の前の人は米神を押さえて難しい顔をする。
「本当に我らのことを”知りに来た”だけか?」
「はい。私はこの人のルーツが知りたいです。」
言いながら、もう一回両手で鬼鮫さんを指し示すと、今度は疲れたように深いため息をつかれた。
「…いいだろう。その前に怪我人の手当てをしたいがいいか?」
「あ。んじゃ、私が治療しますよ。」
「…お前が?」
「私、医者なので。」
なんてったって、綱手様の二番弟子。
Vサインでにっと笑うと、凄い眉間に皺がよった。
んで、えらく迷った末に「ならば…」と切り出した。
「…頼もう。」
「お任せあれ!」
私は答えると同時にたったか駆け出した。