第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「生きている、という定義に当て嵌まるかと言うと疑問が残りますが…。チャクラを喰らった時に、その量や質によっては生き物のように動きますし暴れることもありますよ。」
そう言いながら、背中から下ろして巻かれた布をぐるぐると取り払っていく。
すると、鱗とも毛とも言えるような胴体がぶわっと広がり、剣先に当たる部分には大きな口からギザギザの歯を覗かせた。
「まるで生き物…。」
呟いたら、ソレがぐりゅっと体をこちらに向けて、ニタリと嗤った…気がした。
…飼い主そっくり!!
「良かったですねぇ。気に入られたようですよ。」
「動物に気に入られて、こんなに嬉しくないと思ったのは初めてですよ…。」
怖いけどムカつく、ムカつくのに反撃できないこのジレンマ!!
そして鬼鮫さんの意地悪そうな顔!!
“気に入られて”の意味が絶対違う気がする!
すると、何を思ったのか鮫肌が何かを吸い出し始めた。
私には霧を吸ってるようにしか見えないんだけど…。
「…何してるんですか?」
飼い主に聞いてみることに。
「霧を食べてるんじゃないですか?」
マジで霧だった。
「この霧には質のいいチャクラが含まれてますので。」
「あー…、なるほど?」
文面は理解できても、共感はできないわ。
「ところで、どこら辺に行けば人がいるエリアに辿り着くんですかね?」
霧に包まれる直前に見た景色では殆どが岩山だった気がするんだけど。
「さぁ?水の中ににでもいるんじゃないですか?」
え、魚人のみ…?
「…まさかの村人ゼロですか?」
「やめますか?」
「いえ、やめはしません。行ける所までは行きたいです。」
それを聞いた鬼鮫さんは面倒そうにため息をつく。
「諦めの悪い人ですねぇ。」
「それが私のいいところなので。」
大真面目に答えたら鼻で笑われた。
「欠点の間違いでしょう。」
「はいはーいだ。取り敢えず真っ直ぐ行ってみますか?」
「まぁ、伝もありませんし、そうするしかないでしょう。」
いざ!レッツだゴー!