第10章 ルーツを探しに出かけましょ
…うん。見れば見るほど特徴的な人。
ワ◯ピースの魚人族を彷彿とさせる出立ちよね。
…うーん、本当に魚人族の血筋だったりして…。
この世界に魚人族って本当にいるのかしら…?
「何ですか?」
鬼鮫さんは本から目を離さないまま話しかけてきた。
…器用でいらっしゃる。
「鬼鮫さんって、その…自分のルーツをご存知ですか?」
はい、ストレートに聞く勇気がありませんでした…。
だって「魚人族ですか?」は聞きにくいじゃん…!
「ルーツ…?何ですか、それは。」
まさかの言葉が通じなかった…!
えーっと…。
他の言葉、他の言葉…。
「…ご両親はどんなんで〜、とか。先祖様はどういう人で〜、とか。うちはだったら有名なのは、うちはマダラじゃないですか。そういう感じの知ってますか?」
そう言ったら、ふと本から視線が外れる。
「あぁ…、つまり私の見た目が気になると?」
「そこまでは…その…。…すみません嘘ですめちゃ気になりました…。」
隠せなくて正直に言ったら、馬鹿にしたような顔を向けられて盛大にため息をつかれた。
「普通は隠すものなんですがねぇ。まぁ、変に隠されても癪に障るだけですが。」
…難しいんん。
「珍しいんで、つい…。でも、気になりません?人より強いし丈夫だし、おまけに水にも強いし。」
どれくらい強いか知らないけど、前世では水を口寄せして水中戦に持ち込んでなかった?
「水の国って、珍しい種族の人がいたりするんですか?」
例えば、魚人族とか。
「さあ…?どうなんでしょうねぇ。特に興味もなかったので調べてはいませんが。少なくとも私と同じ種族の人には会ったことはありませんね。」
「…一人も?」
これだけ広い海域で?
「えぇ、一人も。」
マジで…?