第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「……、……さん、エニシさん。」
体を揺すられて、薄ら目を開けると、新緑色の瞳が私を覗き込んでいた。
今どういう状…。
…うん、そうね。そうだった。
昨日、サクラちゃんを預かったんだった。
起きなきゃ。
そう思うのに、体は鉛のように重くて熱い。
「よい…っしょっ…。」
ふぅ…。
起きるだけで一苦労。
「…顔、真っ赤ですよ?」
「…マジで?」
のたのたと洗面所に行き、顔を確認。
確かに、ものの見事に真っ赤だった。
「うん、風邪決定。」
ちくしょう…。
本当にひいちまったよ…。
「薬が手に入らないか確かめなきゃ。」
それが駄目なら薬草を調達せにゃならん。
私はそのまま着替えて部屋に戻り、カバンから巻物を出すと分厚いコートを取り出して羽織る。
私の姿を見たサクラちゃんはしょぼんとしてしまった。
「あの、ごめんなさい…。私がベッド使っちゃったから…。」
あ、まずい。
気にしちゃってる。
「あぁ、気にしないでいいのいいの。そこら辺で寝落ちした私の自業自得なんだし。それに、風邪の時は暑いくらいにしといた方が治りが早くてね。こんな格好でごめんね。」
それでも、しょんぼりは直らないまま。
私は苦笑して彼女に近づくと、ぽんぽんと頭を撫でる。
「心配してくれたんだよね。ありがと。」
にっと笑うと、こちらを向いた顔に少しだけ笑顔が浮かぶ。
「さて。カカシ先生が来てるかもしれないから、社長室行ってみよ。」
「はい。」
控えめに微笑んだサクラちゃんを伴って、私は社長室へと向かった。