第9章 久々に血が騒ぐわ…!
波の国から木の葉までは、国の面積約半分。
…くたびれ状態の時に挑む距離じゃないんだよね、本当は。
でも、里に帰すより他の手は思いつかない。
斬不斬さんに頼れば、折角出した依頼が水の泡になるだけだしね。
十分走っただけで、息切れが凄い。
ペースも落ちてきてる。
遠くに見えてた鬼鮫さんの距離が近づいてる気がする。
残存チャクラは影分身が一体出せるか出せないかってところ。
打って出ようか、どうしようか…。
でもこのままじゃ、ジリ貧な気がする。
「ナルト!掴まってて!」
「おう!」
両手の空いた状態で影分身を出して、私はそのまま走り抜けた。
これで五分でも稼げれば御の字だ。
「鬼鮫って奴がエニシと戦い始めた!」
ナルトの実況で足止めが上手くいったことが分かる。
今の内に!!
「エニシ。」
呼ばれた気がして少し速度を緩めて辺りを見回すと、前方斜め左側の木陰に人影が見えた。
近づくと…、
「白…!?」
何でここに!?
「こっちへ。」
「あ、ちょっと…!」
走り出したから、慌てて追う。
「ねぇ、待って。サクラちゃんは?」
私の影分身が、社長室にいた白に預けたのを確かに確認してる。
ってことは…?
ここにいるのは白の影分身?
「とにかく後で。今は走って。」
そう言われると、これ以上聞くに聞けない。
引き続き、全速力で走り出した。