第9章 久々に血が騒ぐわ…!
容易に海上まで追い立てられて、海面の上を直走っていた。
前後左右から迫り来る水球を、写輪眼で以って見切っていく。
裸眼じゃ追いつかないくらい次々と襲いかかってくるんだもん!
複数同時攻撃が特にキツイ。
「囲まれた…!」
ナルトの声に、はっと見回したら、全部の逃げ道が塞がれていた。
「やばっ…!」
完全に塞がれる前に、海面を強く蹴って隙間を縫うように水球の群の外側に出る。
「終わりですよ。」
鬼鮫さんの声が聞こえたと思ったら、水球が押しつぶすように一箇所に纏まっていき、どデカい水球に早変わりだ。
一気に片を付けにきた…!
空中での方向転換は二人いれば可能だけど、ナルトを一人には出来ないし、今から影分身も間に合わない。
どうするか。
水球の上に乗るしかない。
水牢の術は、相手を水球に閉じ込める術。
その仕組みとして、外側はチャクラを感知して吸引し、内側はチャクラはもちろん物理的にも外に漏らさないようにかっちりとロックする。
つまり、外側は吸い付く膜があり、中側は逃げられない膜があるようなもの。
その膜を足場にしようと考えてるわけ。
足裏にチャクラの膜を張って、反動を利用して場を脱出する魂胆だ。
ただし、反発力を読まないとアウト。
つまり、そっと触れても吸い込まれるし、強すぎても弾性力によってアメーバに呑み込まれるように捕まる。
…実際にやったことがないから”理論上は”という凄く曖昧なものだけど…。
本当に一か八かの勝負になる。
「エニシ!!」
ぎゅっとしがみつくナルトに抱きしめ返す。
足裏が触れた感触がすると同時に、ボヨンと音がしそうなほど水球の形が歪んだ。
よし!上手くいった!
そのまま反発力で押し出される感覚がして、ボウンと弾き出される。
やった!
「終わりだと言った筈ですよ。」
ジャボン!
違う方向から飛んできた水球に、あっという間に捕まった。