第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「鬼鮫って誰だってばよ!?」
「説明できるか!!」
「あのサメみたいな奴か!?」
「そうだよ!いいから今黙ってて!集中出来ない!!」
私と影分身はどうにかこうにか、波の上に登ってその上を走っている。
あり得ない高さでガクブル状態。
波だって、自然現象と違っていつぷっつり切れるか分からない。
その場合は、一気に地面まで真っ逆様だ。
さすがに無事でいられる自信はない。
「エニシさん!足元!!」
ちっ!やっぱぶっつり切られた!!
「「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」」
ちびっ子二人の絶叫と共に地面へと吸い込まれるように落ちていく。
けど、幸いにも下は林。
広葉樹林だから、受け身を取ればまだ可能性はある。
私は少しでも木のクッションに肖ろうと空中で体を捻り、もがく。
ガサガサガサガサ!!
ダンンっ!!
痛ったい!!!
「エニシ!?大丈夫か!?」
「へ、いき…!衝撃で…固まった、だけ…!」
動け、動け、動け…!
がばっ!!
強張りから解放された私達は素早く立ち上がって走り出す。
「白のところへ!!」
「分かってる!!」
見合って頷き合うと、影分身はサクラちゃんを連れて別方向へ走り出した。
「なぁ!祭囃子が聞こえる!!」
屋台通りの近くまで流されたらしい。
後ろ側からどのくらい追い付かれてるのかが分からない。
直進の方が近道だってことは分かってるけど、さっきみたいな術を使われたら、ここの人達は一溜りもない。
迂回するしか、道がない!
私は腹を決めて大きく蛇行すると、海辺を目指す。
「おやおや、味気ないですねぇ。追い付いてしまったじゃありませんか。」
遂に声が届く範囲にまで追い付かれた!
「分かってるなら追い付かなきゃいいじゃないですか〜!!」
子どもとは言えど人一人抱えて走るって、すんごくしんどいのですよ!!
「すみませんねぇ。尾獣を見かけたら確保する決まりなのでねぇ。」
笑いながら言うことじゃないよね!?
ちっとも悪いと思ってないよね!?
「ほらほら、本気で逃げなければ本当に捕まってしまいますよ?」
そう言いながら、すぐ後ろで次々とデカい水球を作り出していく。
よ、容赦ねえぇ…!
「あれって、もしかして…!」
「捕まったら最後よ!!」
お馴染みの水牢の術、出ましたあぁ!!