第3章 久方ぶりの里帰り1
あんなに頑張ったのに、数日後には焼け野原の丸坊主のただの山になってた。
本当に跡形もなかった。
あんなに尾行を気をつけて、厳重に結界を張ったのに。
あっさり”根”に見破られてた。
そして、それを理由にうちはが責め立てられた。
里を出て、里を襲うつもりだと。
謀反だと。
それは、実質、うちはのクーデターが明るみに出た様なもので。
あまりに、お粗末な結果に一族中が私を責めた。
三代目であるヒルゼン様が守ってくれたお陰もあって、私以外は嫌疑を免れた。
『私一人の計画です。他の人に手伝ってもらいはしましたが、それだけです。』
私は終始その主張を貫いた。
里にも、一族にも…。
『お前の様な恥晒しは一族には要らない。』
『情けはかけてやる。記憶を消して、他に埋没して生き恥を晒せ。』
一族からは勘当された。
『…すまない、エニシ…。』
そう言って、万華鏡写輪眼で私の記憶を消した兄ちゃん。
あれは多分、幻術の一種だったんじゃないかな。
その直前に、兄ちゃんの最期をどうにかしようと、例の結末の事も言ったの。
大事なものを捨ててでも逃げて、って。
私は殺されても構わなかった。
もう、一族の事はどうにもならないと、この時諦める事ができたから。
でも、兄ちゃんだけには生き延びてほしかった。
「…結局死んじゃった…。」