第9章 久々に血が騒ぐわ…!
―そうだとすれば、あまりにも…。
彼女の気持ちを考えれば、義務だけで傍に置くのは返って酷である、とカカシは考える。
本人が想いに気付いてないとしても、いつかは辛い現実を目の当たりにすることになろう。
ただでさえ、シスイのことで傷ついている。そこへ、更なる大きな傷を負うことになるのではないか…。
カカシにはそんな予感がしてならなかった。
だが、イタチはこの問いに戸惑いながらも逡巡を見せた。
カカシはその戸惑いに僅かな希望を見出す。
「…悪いな、野暮なことを聞いた。」
「野暮…?」
急な問いの取り下げに、イタチは益々困惑を見せる。
「あぁ…。お前の立場を考えたら、罪滅ぼし以外の理由はないと思ってな。」
カカシは眉尻を下げながら笑う。
気付いてしまったら、イタチはエニシを必要以上に遠ざけるかもしれない、とカカシは思ったのだ。
―気付かないなら、その方がいいかもしれない…。
「ま、お前には悪いけど、エニシの気が済むまで付き合ってあげてよ。」
「えぇ、まぁ…。元より、そのつもりではありますが…。」
イタチは釈然としないらしく、首を捻りながら返答を返した。