第9章 久々に血が騒ぐわ…!
林の中に入って間もなく、イタチは足を止めて振り返った。
「多くは言えませんし、他言はしないでもらいたいのですが。」
「あぁ。」
カカシが頷いたのを見て、イタチは渋々口を開いた。
「”道はないのか”、という問いでしたか。それに対する答えは、”それしかあり得ない”、です。うちはにはうちはの慣わしがあるのです。俺を憎むことでサスケの能力は飛躍的に上がる。身を守る為には避けては通れません。」
「身を守る為?」
「エニシが話していたでしょう?ダンゾウは今も虎視眈々とサスケを狙っている。手を拱いていては喰われるだけです。」
「それとお前を憎む事とどう関係がある?」
「俺は…、一族を根絶やしにしました。本当ならば、エニシは勿論、サスケにも顔向け出来ない許されざる行為です。」
イタチは少し遠くを見るように、昏い目を浮かべた。
「怒りは、動力になる。何より瞳術を飛躍させる。…だから、許さなくていいんです。」
全身に諦めの色を纏い、イタチは言葉を切る。
「…エニシは、いいのか?」
イタチはそれを聞いて、力無く笑う。
「エニシは…。あいつの好きにさせることが罪滅ぼしになりますから…。」
カカシは、それに呼応するように目を伏せた。
「エニシを傍に置くのは…罪滅ぼしだけか?」