第9章 久々に血が騒ぐわ…!
屋根の上に移動したカカシは、足元から聞こえるエニシの咆哮に苦笑いを浮かべる。
「よっ。こうして話すのは久しぶりだな。」
カカシの前には、同じく屋根の上に立っているイタチがいる。
「少し、話が出来ないか?」
「…俺には、話すことは何もありません。」
ぴしゃりと言うイタチに、昔のような穏やかさは見受けられない。
それでも、カカシは諦めきれなかった。
エニシがイタチの傍にいようとするところをみるに、彼にはまだ言葉が届くように思えてならなかった。
カカシは少し間を置いてから、構わず話し出す。
「なぁ…、サスケのことをどう思う?」
「どう、とは?」
「お前への復讐を果たすことだけを頼りに生きてるあいつを…お前はどう思う?」
イタチはそれに応えることはない。
「本当にそれが正しい道なのか?それしか方法はないのか?」
カカシにしては愚直だと、誰もが思うだろう。
言葉にしている本人も思っているのだから。
けれども、エニシはイタチに真っ直ぐぶつかっていったのだろう。
その結果、彼女は今、イタチの傍にある。
であるならば、らしくなかろうがカカシも真っ直ぐにぶつかりたかった。
言葉が僅かにでも届くのならば、と。
「俺は、エニシを仲間だと思ってるし、大事にしたい。だからエニシが大事にしているお前のこともシスイのことも大切に思ってる。」
イタチはそれを聞いて、逸らしながら目を閉じた。
「同時に、俺はサスケのことも大事に思ってる。大切な教え子なんだよ。サスケが苦しんでるならどうにかしたいし、出来るなら助けてやりたい。その為には、どうしたってお前からも話を聞きたい。」
イタチは遂に大きくため息をついた。