第9章 久々に血が騒ぐわ…!
先生は少し眉を寄せてため息をつくと、背中を丸めて頬杖をやめた。
「綱手様からは、かい摘んで大体聞いたよ。」
え、何を聞いたんでしょうか…?
「弟子入りしてたんだな。」
「えぇ、まぁ…。」
「それは…どうしてだ?」
「どうしてって…。そりゃあ、私元々は医療班担当でしたし…。頼れる大人もいませんでしたし…。」
そればっかりでもなかったけど。
私の頭を占める大半は、兄ちゃんとイタチだったし。
「なぁ…。いつか聞いたことがあったよな。『医療忍者になってどうしたいの?』ってさ…。」
あったっけ…?
「そしたら、お前こう答えたんだよ。『色々な人の運命を変えたい』って。今がその答えか?」
「今がその答え…?」
遠回しすぎて分からん…。
「イタチの運命を変えたいのか?…ってこと。」
…この人、何でドンピシャで当てにくるんだろう。
「当たり…か。」
先生は項垂れるように首を垂れた。
「そんな前から、今の運命を知ってたのか…。」
私は何も答えようがなくて俯いた。
ましてや、未来の運命なんてもっと言えるわけない。
「…なぁ。お前一人で背負う必要があるのか?」
そんなこと言われても…誰に任せるわけにもいかない。
「…今、下手に運命を変えたら、どんなことになるのか…想像がつかなくて怖い。」
「イタチの運命が、か?」
私は逡巡しながらもぎこちなく頷いた。
「私が、一人で背負いたい。…他の誰にも任せられないし、任せたくない。」
兄ちゃんとの約束だからってだけじゃなくて、考えれば考えるほど私一人が適任のような気がしてならない。
「誰も信じられない、とかじゃなくて…。上手いこと言えないけど、端的に言うと、私が一人で動くべきなんです。」
イタチ達の仲裁を、たとえばカカシ先生に任せれば上手くいくと思えるのなら、きっとそうした。
先生は私を見て難しい顔をした後、首を掻いた。本気で困ってるらしい。
私も本気で困るわ…。