第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「ごめんごめん、暇だったよね。」
店を回ると大抵は知り合いだから、ついつい話し込んじゃう。
「いや、大丈夫だ。お前、随分根付いてるな。」
「まぁね。斬不斬さんの橋渡し役をやってたからそのせいだね。」
さながら気分は交渉人です。
「橋渡しって…何やってたんだ?」
「大したことはしてないよ。斬不斬さんがガトーの仲間じゃないって、会社は乗っ取ったからこれから健全な会社経営するよって説得して回っただけ。」
「…それだけであんな風にならないだろ。」
「あぁ、あれだよあれ。商売のアイディアをよく出してたからあれこれ引っ張られるだけだよ。」
「さっきやってたみたいにか?」
「うん。そんな感じで幾つか言ったよ。」
そう言ったら、何でか唖然と固まった。
「お前は…ここに根を張った方が…いいんじゃないか…?」
「いや、ここに腰を落ち着ける気は更々ないよ。」
言ったら益々唖然とされた。
私は首を傾げる。
「う〜ん…、何でそう思うの?」
「それは…。」
「それは?」
聞き返したら、少し渋い顔をしながら重い口を開く。