第9章 久々に血が騒ぐわ…!
結局着替える羽目になり、一旦退出。
着替えって言ってもあと一着しか持ってない。
シズネさんと出店回ってた時に一目惚れしたセットで、チャイナ服っぽい一品なの。
落ち着いた赤色のピタッとしたボレロに、胸元が開いたノースリーブワンピース…って言っていいのかは微妙だけど。というのも、下の丈は太ももの中程で、左右に大きくスリットが入ってるから最早スカートとは言えないよね。
で、着ると胸元はダイヤ型に小さく肌が見える感じのものになる。
お気に入りポイントの一つだ。
前側やや斜めのラインに、色々な花や蝶が刺繍されてる華やかさも推しポイントよ。
更にはボンタンタイプの七分丈黒ズボンを履く。
ちょっとダボっとしてるところがチャームポイントだね。
これで可愛いミュールがあれば文句なしなんだけど、中々これ!っていう一品が見つからない。
普段、履かないのも原因だったりする。
だから、今日はいつものブーツよ。
髪型は…、これでいいや。
いつも通りに後ろでお団子にして簪で留める。
簪ももうちょっと華やかのがあればね。
まぁ、あってもつける機会は中々無いんだけど。
「戻りました〜。」
社長室に戻ったら鬼鮫さんしかいなかった。
あら、みんなお出かけ?
「…何処へおでかけですか?」
…はい?
「何処にも行きませんけど?」
「じゃあ、何なんですか。その格好は。毳毳しい。」
「ひとの一張羅に何てこというんですか。」
毳毳しいってなんやねん!
「もっと他に言いようがないんですか?」
「似合わないですね。」
「期待した私が馬鹿でしたーだ。」
けっ。
と、そこへ白と斬不斬さんが戻って来た。
「わぁ、エニシさん綺麗ですね。」
「さすが白ね。褒め上手ぅ。」
いやん、照れちゃう(笑)
「…なんだその格好は。」
「女子を前にしてそれはモテないですよ、斬不斬さん。」
あなたもですか。
白と真反対だね。
「煩せぇよ。どうでもいいわ。」
「…お前、その格好は…?」
イタチも丁度戻って来た。
「あ、おかえり〜。どう?私の一張羅。」
聞いたら、若干困惑した様子。
「…あぁ、そうだな…。似合うんじゃないか…?」
それって…社交辞令だよね?
「そっか…。うん、ありがとう…。」
…ショック。
お気に入りだったのに…。