第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「いっしょに…いたいれす。…いたちのそばに…いたい…。しあわせに、なってほしいんれす…。」
エニシの体がぐらぐらと揺れて斬不斬の方に倒れ込む。
「だい…きな、さ…けと…いきて…。」
それを最後にすぅすぅと寝息を立てて寝てしまった。
それを横目に、斬不斬は眉間に皺を寄せる。
「…ちっ。誰が送ってくんだよ、これ。」
「斬不斬さんですかね…。僕ではよたよたしてしまいますし。」
白は苦笑しながら答えた。
そこへ、ガチャリとドアが空き、噂の人物が顔を出す。
「エニシを知ら…。」
斬不斬に寄りかかるエニシを見て、真顔で固まるイタチ。
「丁度いいところへ来たじゃねぇか。これ、回収しろよ。」
「…は?」
「ここは俺らが片付けてやるから、てめぇはこれ持ってけ。」
斬不斬が肘を少し上げると、エニシの様子がぐったりしていることが分かり、イタチは動き出す。
近づくにつれ、状況の把握が出来てきた。
手元にはグラスとボトル、水さしなどなど。酒を呑んでいたことが伺える。
「…何をしてるんだ、お前は。」
エニシの傍までやってきたイタチはげんなりしながら、斬不斬に寄りかかる彼女を抱き寄せる。
「眠れない、と館内を歩き回っていたようで。お酒を差し上げたんです。興が乗ってしまって少し呑み過ぎてしまいましたが…。」
苦笑する白に、はぁ、とイタチは重いため息をつく。
「随分とてめぇのことで気を揉んでたみたいだぜ。」
「斬不斬さん、その言い方は誤解を招きますよ。」
白がやんわりと嗜めると、斬不斬は舌打ちを鳴らす。
それには気に留めずに、白はイタチを見上げた。
「エニシさんはあなたをとても心配しているようです。それが上手くいかずにもどかしそうでした。」
それを聞いて、エニシを支える手にぐっと力が入る。
「…そうか…。」
何とも言えぬ顔でエニシを見つめるイタチに、斬不斬はこっそりため息をつく。
「…傍に置いて大事にしてやりゃいいじゃねぇか。こいつもそれを望んでるんだしよ。」
「エニシが、か?」
「はい。イタチさんの傍にいたいと、そうおっしゃっていましたよ。」