第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「んじゃ割り切ってやれよ。」
ぴしゃりと言われて、ゔっと言葉に詰まった。
「逃げたい…。」
そんな簡単に割り切れん…。
「逃げたきゃ逃げりゃいいじゃねぇか。何怖気づいてんだよ。」
「だって…。イタチのことだもん…。兄ちゃんの約束だってあるし…。大体、今逃げるくらいなら、弟子入りした意味ないです…。」
やってられない気持ちになって、ぐび〜っと一気に呷った。
おかわりおかわり…。
「…お前、明日に響くんじゃねぇか?」
「大丈夫。」
二日酔いの薬あるし。
「おい、やめとけ。」
グラスを取り上げられて「あぁ」と手を伸ばす。
「あと、ちょっとだけ。お願いします。」
頭の片隅では、ちょっとヤバいかなって思いが過ぎったんだけど、九割方呑みたい欲望が占めていた。
「…あと少しだぞ?」
うんうん、と頭を振って答えたら、ぐわんぐわんと視界が揺れた。
「えっへへ〜♪」
これうま〜。
甘くて、いい匂いで、ふわふわする。
無言で呑んでると、ぽつりと言う斬不斬さんの声が聞こえてきた。
「…無理に背負わなくても、いいんじゃねぇのか?」
ちびちびと呑みながら、ふわふわした頭で言葉を咀嚼する。
「でも…、逃げたらきっと…。きっと、私はもう…生きていけなくなる。」
立ち止まったまま、動けなくなる…。
「…お前は、うちはイタチの傍にいたいのか?いたくないのか?」
「私は…。」
どうしたい…?
「約束だけに囚われて、義務のように思ってんなら…。却って一緒にいない方が互いの為だぜ。」
斬不斬さんの言葉に、つきんと胸が痛んだ。
一緒にいない方が…。
うん、分かってる。
でも…。
それでも、私は…。