第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「向こうも、お前には傷ついてほしくないとか思ってそうだけどな。」
「…優しいんですよ、昔から。責任感も強いし。」
兄ちゃんの妹だからってだけで気にかけてくれてるのよ、きっと。
「負い目なんて感じなくていいのになぁって思うんですけど。そうもいかないんでしょうね。」
私は遣る瀬なさを紛らわすために、ぐっと呷る。
「そりゃそうだろ。お前の両親だって手にかけてんだろ?」
「まぁ…そうですね。それに私の顔は兄に似ていますから。」
「兄貴がいたのか。」
「はい、イタチとは大親友でした。」
「うちはイタチはお前の兄貴も手にかけたのか。」
「表向きは、ですけどね。」
「表向きは?」
「まぁ、色々あるんですよ。でも、結果的に自分のせいだって、自分が全て悪いってイタチは思ってそうですけど。」
言ってから、はたっと気づいた。
そっか…。
そうだよね…。
兄ちゃんとそっくりの私が傍にいて、気が休まらないのかも…。
常に負い目を感じてたら…。
「…分かってるようで、分かってなかったかも…。」
ぐで〜と突っ伏して撃沈した。
そうだよ。そうすれば、”嫌いじゃないけど傍にいてほしくない”に合致するじゃん。
「ちょっと考えれば分かったことだったのに…。」
イタチに負担をかけないように、とか思ってたけど、存在自体が負担とか終わってるわ…。
「ぐたぐたとうぜぇな。」
「ウザいとか言わないでくださいよ〜。地味にヘコみますから〜。」
「うぜぇもんはうぜぇんだよ。いつもみたいに頭空っぽで一緒に居りゃいいじゃねぇか。大体、そんな小っちぇことで悩んでんじゃねぇよ。らしくねぇ。」
「小っさいことって…。私にとっては死活問題なんですけど…。」
病気ってメンタルに響いてくるんだからさ。
人間は心身一体なのよ。
「それに頭空っぽは酷いと思いまーす。」
私だって色々考えてるんだから。ふんっ。