第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「すんげえぇ…。」
予想以上でした。
カウンターには、様々なラベルで大小様々なボトルが棚一面にずらりと並び、これまた様々なグラスが宝石を飾るように並べられていて、さながらBARに来たようだ。
カウンターの他にもテーブル席が七つほど。
照明や家具にも拘っているみたいで、場所そのものが絵になるような、絶妙な配置バランス。
全体的な色合いとしてはブラックとブラウンで統一された落ち着いた感じ。
「意外にこういう趣味は悪くなかったのねぇ。」
「だな。俺も、ここだけは奴のセンスを認めてやるよ。」
上から目線。ウケる(笑)
「僕も、この建物の中でここだけは好きですね。」
「白にも大好評。」
私もここ好きだなぁ。
「カウンターの中、入ってもいいですか?」
「好きにしろ。」
お許しが出たので早速…。
「わぁ、凄いな。カウンター裏までぎっしりじゃないですか。」
あれ、バックヤードがある。
「あれ、こっちにもぎっしり。」
「そっちは開けてないから触るなよ。」
「はーい。」
こんだけの量が未開封。
すげぇ金かけてんじゃん。
さすが成金。
って事で表の棚を物色。
なになに?
銘柄は、と…。
「バーボン…?ラム…、ジン、スコッチ…?大吟醸、純米…。何でもありじゃないですか。」
しかも、見たことあるような無いようなラベルばっかり。
どっから仕入れてきたん?ってな物ばかり。
「…お前その表示読めるのかよ。」
「これ、多分英語です。私の前世の共用語だったんですよ。」
大分忘れてるけどね。
「何でこんなもんがあるの?」
ガトーって実は怖い奴なんじゃ…?
「へぇ、そりゃ興味深い。その入手ルート暴いてやりてぇな。」
「ぜひぜひ。私も知りたいわ〜。」
きゅっぽん、とコルクを抜くと、いい匂いが立ち上る。