第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「もしかして、斬不斬さんも自分で切ってたりする?」
白が行かないんじゃ、斬不斬さんも行きそうにないよね。
「僕が切っていますよ。」
「え!?マジで?白、めっちゃ上手じゃん。」
「そうですか?」
「そうだよ。美容師になれるんじゃない?美人だから女の子に大人気なカリスマ美容師になりそう。」
「それは…興味が湧きませんね。」
淡々と言う白に、本当に興味がないんだなって思った。
「んじゃ、斬不斬さん専属美容師だね。ははっ。」
なんか想像したらちょっとウケる。
「専属か…。それはいい響きですね。」
「あ、そこ?斬不斬さん”専属”にそそられるのね。」
白も大概変わってる。
ブレなくて面白いけど。
「はい。斬不斬さんは僕の全てですから。」
「ふ〜ん、そっか。」
私がイタチの専属って思うのとちょっと似てるのかなって少し思った。
私もイタチを救えるなら、自分の全てを賭けてもいいと思ってるし。
「案外、私達って似てるのかもね。」
そう言ったら、白は少し驚いたあと、考えるように遠くを見る目をしながら前を向く。
「…あなたにとっての守りたい”もの”は…、イタチさんの何かなのですね。」
核心に迫るあと一歩のようなその言葉に、思わず驚いて白を見返してしまった。
そしたら、前を向いていた目がこちらを向き、優しく細められた。
「ふふっ。ダメですよ、エニシさん。隠したいことにそのように反応しては。簡単に見破られてしまいますよ。」
…やっちった…。
「…他の人には内緒ね?」
ちょっと甘えるように人差し指を立ててにっと笑ったら、白は困ったように笑う。
「分かっています。ただ…。」
「ただ?」
「エニシさんも…、もし行き詰まることがあったら、僕達を頼ってくださいね。」
涙が出てきそうな嬉しい言葉に、思わずぐっと息を呑む。
「約束ですよ?」
左手の小指を差し出されて、おずおずと自分の右手の小指を絡めると、一度軽く手が振られてそっと離れる。
「…敵わないな。」
精神年齢としては、ずっと大人に感じる白。
彼には年上としての余裕を保てない気がする。
ちょっとへこたれながら白を見ると、綺麗な微笑みが返ってきた。