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もう一度、を叶えるために。second

第8章 暁に依頼します!





………。

「…私、何しに行ったんだろう…。」

いや、本当はイタチに息抜きしてもらおうと思って散歩に誘ったわけですよ。
なのに、何であんなに泣いたん?
これじゃ息抜きにならんじゃんね。

「…っていうか…。」

私、他人(ひと)の心音が鬼門なんじゃなかろうか。
反射的に涙腺が緩む的な。
だって、スイッチ入ったのってイタチの心音聞いてからだもん。

「…いやいやいや…。」

そもそも、人に抱きしめられて心音聞く機会なんて無いじゃんね。

…あれ?
そもそも無いんだよね…?

…あれれ!?

意識すると、途端に顔が火を吹くように熱くなった。

うわっ!はっず!はっずいよコレ!

頬に触れるイタチの手の感触もリアルに蘇ってきて、叫び声が喉元に迫り上がる。

ダメだ!よそう!!
コレ思い出しちゃダメなヤツ!

「エニシさん。」

白から呼びかけられて、思わずぎくりと固まった。

「今日はもう、休んだ方がいいですよ。」

「な、何で?」

私は白の方を振り向けないまま答えると、ふぅ、と小さなため息が聞こえた。

「書類、さっきから殆ど進んでないんじゃないですか?」

手元を見ると、殆どどころか1ページも進んでいなかった…。

…あぁ…。

私のバカ…。

「…ごめん。…今日はもう寝るわ…。」

「はい。おやすみなさい。」

白に見送られ、とぼとぼと部屋へと帰る。

自分のおバカ加減に涙が出るわ…。

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