第8章 暁に依頼します!
「行っちゃったね。」
ぽそっと呟くと、私達は互いの顔を見合った。
改めて考えると、イタチと白って奇妙な組み合わせだわ。
だってほら、漫画通りだったら運命線が交わることがない二人なわけだし。
「えっと…。僕は仕事に戻りますね。」
白がそそくさと立ち上がり、それを見送るように目で追ったあと、二人して顔を見合わせた。
「…えっと…暇?」
「…そうだな。やることは特にないが…。」
そっかぁ…。
「んじゃあ…、ちょっと付き合ってくれる?」
「何処へ行くんだ?…人になら会わないぞ。」
イタチが警戒のせいか、少し目元をキツくする。
…いや、別に何をさせるも気ないよ?
「海辺にでも散歩行こうかなって思って。意外と潮風が気持ちいいよ。」
「散歩…だけか?」
警戒する猫みたいでちょっとかわいい(笑)
「うん、散歩だけ。一人じゃ寂しいからさ、一緒に行こうよ。」
怪訝ながらも立ち上がるイタチに、少し苦笑してから白の方を向く。
すると、読んでいたかのように目が合ってにっこりと微笑まれた。
「ゆっくりしてらしてください。ここは大丈夫ですから。」
これまた気配りバッチリのお言葉が返ってきて、ちょっと困っちゃったっけ。
年下なんだけどね、大人だわぁ。
「じゃあ、お言葉に甘えて。少し出てくるね。」
私はイタチを促して外へと出て行った。