第8章 暁に依頼します!
海凪亜門とは、大黒天善を囲う沖凪夜志と敵対する大名で、沖凪夜志は長年目の上のたん瘤だったらしい。
いつか潰したいと狙っていたそうな。
海凪亜門から鬼鮫さんに度々スカウトが来てたんだけど、鬼鮫さんはお仕事に忙しいので断ってたんだって。
で、今回いい機会だからと斬不斬さんと海凪亜門との橋渡しをしようと言うのだ。
「テメェ…、つまり俺に面倒事を押し付ける気じゃねぇか。」
「おや、霧隠では抜忍となってるんですから、後ろ盾があった方が動き易かろうとの気遣いだったんですがねぇ。小僧には大名の相手は荷が重いですか。」
「小馬鹿にしやがって…!」
「ま、まぁまぁ。落ち着きましょ、ね。」
肩書きだけで判断するなら美味しい話ではあるんだけど、それって人にもよるよね。
ガトーみたいな倫理観がオカシイ奴だと、逆に大名の権力が厄介になる。
「海凪亜門って、どういう人なんですか?」
手を組むには、最低限の人柄くらいは知りたいところ。
そう聞いたら少し奇妙な顔を向けられたあと、少し考え込む素振りを見せた。
「…そうですねぇ。少々気難しいですが、クズではない、といったところでしょうか。」
「気難しいって…どれくらい?」
癇癪起こすような人だったら面倒臭いよ?
「神経は図太い方だと思うのですが。怒ると宥めるのに一苦労すると聞いたことがあります。烈火の如く怒るそうですよ。」
「起伏の激しい人みたいですね。」
「ただ、癇癪を起こすことはないそうです。大体が筋の通らないことで怒るのだとか。」
ふ〜ん、どうやら一本気な性格らしい。
手を組んでみる価値はありそうな気がする。
「でも、鬼鮫さんだからスカウトしたのに、とか言われないですよね?」
会って一発目でそれ言われたら萎えちゃうからね。
鬼鮫さんはそれを聞いてムッとする。