第8章 暁に依頼します!
「けれど…、月日が経つにつれてエニシさんの言った通りの事が次々と起こりました。そして、その助言があったからこそ、僕たちは生き長らえることが出来た。信じるに値すると僕は思います。」
その言葉に私は目を瞠った。
そして、初めてここに来た時に言われた言葉が脳裏に甦る。
『あなたのお陰です。』
そっか…。
斬不斬さんと白は、信じてくれたから今生きてるんだ。
あの時、何であんなにも涙が溢れたのか、今何となく分かった。
二人が生きててくれたってことも嬉しかったけど、自分の知識を使って不可避の未来を変えられたってことも嬉しかったんだ。
一族は不可避だったけど、二人のことは回避出来たんだよね。
そっか。
私、受け入れてもらえてたんだ。
二人が私の言葉を覚えてくれてて、信じてくれたことが嬉しかったんだね。
「白。」
「はい。」
無性にお礼を言いたくなって、私は身を起こした。
白を見ると、にっこりと優しい笑顔が返ってくる。
大人な子だよね、ほんとにさ。
「ありがとう。」
「お礼を言うのは僕達の方ですよ。」
「ううん、信じてもらえたことが嬉しいから。だから言わせて?…斬不斬さんも、ありがとうございました。」
「…ふん、えらく殊勝じゃねぇか。らしくねぇ。」
腕を組んでそっぽを向く斬不斬さんに、少し笑ってしまう。
憎まれ口の中にも労りが垣間見えるのが、この人の優しさなんだと私は思う。