第3章 久方ぶりの里帰り1
「で?久々の再会に姿も見せてくれないの?これでもかなり心配してたんだけどねぇ。」
…うん、詰んだ。
しかも、ちょっと意地悪そうな笑顔だし。
くそ〜。
私は仕方なく変化を解いた。
「いつから気づいてたんですか?」
これでも上手く化けたと思ったんだけど。
「ん?最初からだけど?」
え?なんですと?
「お前、本気で気づいてなかったのね。」
「うん、待って?どういうこと?」
最初から!?
最初からなの!?
変化の意味は!?
先生はいい笑顔だ。
「まず第一、ぶつかって来た時に纏ってた匂いがそもそもお前だった。」
「匂いって…体臭?」
聞いたら、顔を顰められた。
「…嫌な言い方するね。でもま、そういう事。」
「変態か?」
正直な感想が思わず出たら、先生はすっごく嫌そうな顔をした。
「うん、お前はそういう奴だったよ。思い出したわ。」
なんか、ごめん。
「すんません、思わず。そういえば嗅覚がずば抜けてるんでしたっけ?」
「思い出してくれて良かったよ。」
先生は、それはそれは大きいため息をつきました。
だから、ごめんって…。
「第二に。今日案内した所は、かつてお前の行きつけだった店だ。そこで頼んだメニューは、あまり人が頼まないもの。つまり、ほぼ、お前だけのオリジナルメニューってわけ。」
え、そうなの?
あんなに美味しいメニューを?
「ラーメン食べに行って、態々野菜を増し増しにするのはあまりいない。同じ様に甘栗甘であの組み合わせを頼む奴はほぼ見ない。お前を除いてな。」
「げげ…。」
まーじかー…。
「第三に。俺は今日、一度も名を名乗っていない。それに、先生って呼びそうになってなかったか?」
「…あ。」
さっきだ。
うっわー。やっちまった。
私は思わず頭を抱えた。
そして、昔からカカシさんを先生と呼ぶのは私だけ。先生をやったことない昔から。
「本当に隠れる気があるのかと、何度笑いそうになった事か。」
くくくっ、と楽しそうに笑う先生。
記憶力もずば抜けてるんでしたっけ。
すっかり忘れてましたよ…。