第8章 暁に依頼します!
カチ、カチ、と秒針が響く中、黙々と作業をする私達。
時計を見上げると一時間半は経ったかな、ってところ。現在、午後四時近く。
そろそろ休憩を、と思ったところに、コンコンコン、とノックが響く。
「は〜い、どうぞ〜。」
私が答えると、ガチャリとドアが開いてタズナさんが現れた。
「おぉ〜、エニシじゃないか!超久しぶりじゃの〜!」
「お久しぶりです、タズナさん。超はつく程じゃないですけどね。」
口癖だって知ってるけどね。
時々ややこしいのよ。
「相変わらずじゃの〜。元気だったかの?」
「えぇ、変わらず元気ですよ。タズナさんもお元気そうでなりよりです。今日はどうしました?」
「そう急くでない。ちっとはゆっくり話をしようじゃないか。」
タズナさんってかなりのお話好きなのよね。
私もやぶさかではないんだけど、いかせん急いでるのよ。
「残念だけど私が急いでるの。人を待たせてるから気が気じゃなくて。」
無理してないか心配なのよ。
「そうか…そりゃ残念だの〜。じゃあ、早速本題に入るとするか。」
「助かります。」
残念そうにするタズナさんを応接用のソファに促して対面に座る。
さっきまで私が使ってたから書類がかなり広がってて、簡単に片付けて端に寄せた。
「これなんじゃがの。」
何枚かの写真が広げられ、誰かが纏めたであろう資料が広げられる。
「アドバイスしてもらったとおり、幾つかの目玉は作ってみたものの、あんまり売れ行きが伸びなくてなぁ。」
「…パインとドラゴンフルーツは売れてるのね。椎茸はいまいちか。ハイビスカスはぽつぽつってところなんだね。」
「そのパインとドラゴンフルーツも目玉とまではいかないがの。椎茸とハイビスカスに足を引っ張られておる。」
「そっかぁ…。いっそのこと椎茸は地元向けにしていいかもしれないね。他の畑と同じ扱いか統合か。ハイビスカスがね〜…。」
需要ありそうなんだけどな…。
「いっそ、キーホルダーとかを作って認知度を上げてから富裕層向けに輸出したらどうなんだろう。」