第8章 暁に依頼します!
それから、社長室に戻った私達はそれぞれの席に着く。
私は、ガラステーブルに履歴書みたいな個々人の登録票を広げた。
「これで漏れの心配はないかな。新しい人を配置しなきゃね。」
誰がいいかな?
「…ガトーの手下は、避けた方がいいんでしょうか?」
難しい顔をした白がぽつりと呟いた。
人選ミスって何となくメンタルにくるよね。
奴と同じ部署で働く人への責任感とか、「任せてたのに」っていう裏切られ感とかさ。
それこそ、白が言ったようにガトーの手下だった人達への不信感にも繋がる。
だけどね、
「ガトーの手下じゃなくても、やる奴はやるし、心を入れ替えた真面目な人だっているよ。」
ガトーの手下じゃないからって、その人がいい奴であるって保証は一切ないし。
「いっそのこと面談したいよね。」
バイト面接的なさ。
そう言ったら、白は不思議そうに首を傾げる。
「面談、ですか?」
「そ。まずは成績が良さそうな人をピックアップして、人柄を判断するために話してみるの。職場の様子だったり、会社の方針のことだったりを。その人が何をどう感じてどう考える人なのかを探る。」
白は「なるほど」と呟きながら個人票に向き合った。
それを横目に斬不斬さんは、椅子にひっくり返るように座って、デカい執務机に長い足を乗せる。
「…面倒くせぇことはてめぇらでやれ。」
ふ〜ん…、でもそうはさせないよ。
私は取り分けた帳簿やら個人票やらを、机にドンと乗せた。
「はい。そんなこと言わずに協力して下さい、社長。」
「誰が社長だ!」
お、首だけ起きたぞ。
いい感じいい感じ。
「え〜まさか年端もいかないゆっきーに社長やらせる気ですか?それは酷ですよ、お父さん。」
「てめぇ…!人をおちょくるのも大概にしろよ…!」
「お父さんが嫌だったら社長するしかないですよ。ヒモなんてもっと嫌でしょう?」
「ぐっ…。覚えてろよ?」
そう言って、嫌々身を起こして睨みつけてくる斬不斬さん。
私は、それに笑顔を返す。
「是非とも震え上がるくらいのし上がって下さいな。」
「次から次へと減らず口を…!」
あはは、プライドが高いって大変だね〜。(笑)