第8章 暁に依頼します!
『んなわけねぇだろが。何なんだよ、こいつ阿呆なのか?』
斬不斬さんは、私ではなく綱手様に言う。
『…なんか、すまんな…。』
『え、どういうこと…?』
違うの?だって対なんでしょ?
『はあぁぁ…。だからな、これは忍鳥なんだよ。こいつは幾つもの呪印を覚えてて、決まった呪印が刻まれた者の場所へ飛んでいける。手紙のやり取りや、追跡なんかにも使われるんだ。』
何それ!!
めちゃめちゃ便利でカッコいい!!
『綱手様!!私もほし…』
『出来るわけないだろが、バカもん!!』
イテ〜…。
綱手様の拳骨って超痛いんだよね…。
『な、何で…。』
『こんな貴重なもんをほいほい見つけられると思ってんのか、馬鹿が。』
綱手様じゃなく、斬不斬さんから答えが降ってきた。
『えぇ〜…。ほしかった…。』
『それに育てるのに気の長い年月を要する。一朝一夕で出来るものではない。』
はああぁぁぁぁ…。
残念極まりない…。
『…今更だが…。あんた、あのナメクジ姫か?』
『あ?…まあな。』
綱手様が大きくため息をつくと、斬不斬さんが胡乱気な目を彼女に向けた。
『素直に名乗っちまっていいのかよ。』
『別に隠すことでもあるまい。』
『…何でここ(他里)にいる?』
『特には理由なんぞない。気が向いたから立ち寄った、ただそれだけだ。』
『はっ、そうかよ。精々観光を楽しみな。』
そう言うと、話は終わりとばかりに斬不斬さんは背を向け、白もそれに続く。
『さっきの、考えおいて下さいね〜!』
遠ざかる背中に叫ぶと、片手が一度上がった。
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