第8章 暁に依頼します!
『はあ?』
『お前は知識が偏り過ぎてるな。』
斬不斬さんは呆れ、綱手様は呆れ過ぎて面倒になったらしい。
『てめぇは何で氷遁を知らずに白を知ってんだ?』
『だから、前世で見たからです。知ってるったって美少年だったなぁって印象しかありませんし。斬不斬さんと並ぶと美女と野獣だイテ!!』
酷い!殴られた!
『大きなお世話だ。』
『…ぼく男です。』
『うん、知ってる…。』
も〜冗談が通じないんだから〜…。
『とにかく、死ぬ運命をむざむざ辿るくらいなら、そんなのほっぽり投げて、逆に取って喰っちまえばいいんですよ。抜忍になってるのなら先立つものはあって損はありませんよ?』
にやっと笑うと、斬不斬さんは疲れたようにため息をついた。
『…一応、覚えといてやる。』
へへっ、やったね!
『あ、そうそう。もしもカカシさんに渋られたら私の名前出してみて下さい。カカシさんを推薦します、って。それと…』
『まだあるのか…。』
そんな嫌そうにしないでよ、も〜。
『無事乗っ取れたら地元を大切にした会社経営をしてください。』
『乗っ取った後、俺が何をしようと…』
『民のない王なんて滑稽ですよ。』
私はひたと斬不斬さんを見据えた。
この人なら善政が出来ると思ってる。だからこそ持ちかけた話なんだから。
『”民”が活性化されれば、巡り巡って”王”は安泰安政なんです。だって民がいてこそ王が成り立つんですから。』
そう言ったら斬不斬さんは押し黙った。
『約束ですよ。乗っ取るなら必ず。』
笑ったら、彼は顔を引き攣らせた。
『もし、運営で困ったり行き詰まったりしたら、私を呼び出して下さい。出来る限りは協力しますから。あ、私も木の葉の抜忍なんで、人目を避けてお願いします。』
『…お前、連絡手段はどうするんだ?』
傍で聞いていた綱手様は呆れて果てて私を見る。
『行き当たりばったり過ぎよ、エニシ。』
シズネさんからも苦笑いされ、肩を叩かれた。