第7章 お宝探しにご同行〜
『…別に取って食いはしませんよ?』
無心でやってたら、隣からそんな声が聞こえてきた。
“取って食いはしませんよ”?
…って何の話?
隣を見上げると嫌そうな顔で見られた。
『あなたもいつまでもひっ付いてないで、そっちに行ったらどうですか?』
そう言って投げた視線の先はイタチの側で…。
『ぁ…、…。』
…そりゃあね、並べるものなら隣に座りたいけど…。
しゅっ、しゅっ、と研いでいる手元を見ていたイタチが顔を上げてこっちを見た。
『…来ないのか?』
『行く。』
思わず即答してから、内心しまった、って思ったけど遅いよ、って話だよね。
すっごい無意識だった。
だけど、イタチは気にしてないみたいで、少し笑って視線で隣へと促してきて、私は道具を持ってそそくさとそっちに移動する。
『イタチも自分で研ぐの?』
『場合によって、だな。物によっては研いだ方がいい場合もあるし、刃こぼれが少ない日もある。』
『そっか、上手そうだもんね。』
手捌きがベテランさんだ。
『どうだろうな。いつもやってる奴には敵わないと思うが。』
『私は全然やらないから、違いは分からないかな。』
お互い、手を動かしながら話をする。
『あぁ、クナイをこう持つともっとやり易いぞ。』
イタチの手元と見比べながら真似してみる。
『こう?割と刃に近い所を持つんだね。』
『そうだな。あとは…』
言いながら、イタチの手が私の手に重なった。
『こういう風に持てるか?その方が支え易い。』
『う、うん…。』
う゛…、かなり緊張する。
イタチの指が一本一本重なり合って、私の手が包まれたように見えなくなる。
『そうだ。そのまま、この角度で砥石に当てる。』
砥石に当てたところで、すっとイタチの手が離れた。
ちょっとの寂しさは感じるものの、ほっとした部分が大半を占める。
そして、そのまましゅっと動かすと…。
なるほど、動かし易い。
『さすがね、やり易いよ。ありがと。』
イタチを向くと、嬉しそうな微笑を返してきた。
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