第7章 お宝探しにご同行〜
それから二、三ヶ月は平和だった。
のんびりと時が流れて、鬼鮫さんが一週間くらい留守にする、なんてこともあったほど。
そうそう、約束してたクナイの手入れ方法も実践付きで教えてもらった。
鬼鮫さんが先生の筈だったんだけど、何故かイタチも先生役に回って、二人であれこれと教えてくれたんだよね。贅沢でしょう?(笑)
お陰でちょっとは上達できたんじゃないかな。
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『よろしくお願いします。』
私達は三人で輪になるように向かい合って座り、手前に砥石とクナイと水桶を用意する。
もちろん、下にはタオルを敷いたお盆付き。
『では、まずはお手並み拝見としましょうか。』
『はい。』
まずは、と。
浸けておいた砥石をお盆の上に置き、なるべく平たくなるようにして押し出すように…
『違いますねぇ。』
『え、え?』
やり方違うの?
『まず、砥石に当てる角度が低すぎる。このくらいです。』
実際に当てている所を横から覗き込んで確認。
ふむふむ。
『そして、利き手の人差し指で峰を支えて、刃を押さえるように片手を添える。』
こうかな。
『押さえ過ぎず、軽過ぎず、適度な強さで一定に。』
そう言って、滑らかに手を動かすのを見て必死で覚える。
こう…かな?
『少し違います。隣に来なさい。その方がよく分かるでしょう。』
言われた通り素直にお隣へ。
ぴたりとくっ付き覗き込む。
『…あなたには…、はぁ…。言うだけ無駄ですね。』
『え?何がですか?』
『何でもありません。こうですよ。』
そう言いながら、また手を動かし始めた。
強さはこれくらいかな。
動きは…腕を動かさないように体ごと動かしてる?
『こんな感じ…かな…。』
ぼそぼそっと独り言を呟きながら見よう見真似で実践。
『えぇ、合っています。あとは反復です。』
反復、反復…。
しゅっ、しゅっ、と無言の部屋に音だけが鳴り響く。