第7章 お宝探しにご同行〜
「ダブルブックキングした依頼ってどうなるんですか?」
「…ダブルブックキング?」
鬼鮫さんが怪訝な顔をする。
ダブルブックキングって言葉が無いのかしら?
う〜ん、と…。
「例えば…、太郎さんと花子さんがいます。二人は同じダイヤモンドの指輪を欲しがっていました。なので、二人は同時に暁に依頼を出します。”ダイヤモンドの指輪を盗んできてください”と。
こういう場合ってないんですか?」
それを聞いて二人は考え込む。
「あるにはありましたが…。」
「…確か依頼料で決めてなかったか?」
「そうでしたかねぇ。よく覚えていません。」
「ふ〜ん。金額が多い方を取るんだね。」
「普通はそうじゃありません?」
「トラブルを避けて両方断るって選択肢もありますよ?」
「折角の報酬獲得の機を逃す方が損だと思いますが。」
そういうものなんだね…。
まぁ、普通は信頼重視だけど、そもそもがまともな依頼じゃない。
そしたら金を取るのが心理か。
「満足しました?これ以上は答えませんよ。」
鬼鮫さんが言うと、それに倣うようにイタチも私から視線を逸らす。
そしてまた無言…。
…ねぇ、何か話そうよ。
結局、アジト付近に着くまでほとんどの時間が無言だった…。